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痛みを斬る

症例16桑田義男さん(56)=大腸がん患者(仮名)

ナースコールはない

私の友人の外科医は、痛みを取りながら行う神経ブロックを併用した手術方法について、全く知りませんでした。あるとき、私は麻酔医として友人の外科医が執刀する手術のお手伝いに参加しました。事前に薬を頼んで置き、麻酔をかける前にチューブを入れて硬膜外ブロックを患者にしました。

桑田さんは大腸がんのため、へその下から恥骨の近くまで、約10センチ以上も切って腸を取り出し、患部の切除を行います。家族も事前に話をきいていましたので、手術後の夜には本人はもちろん、家族も地獄の苦しみを味わうことになるだろうと覚悟していました。

私は手術開始の30分前にミダゾラムを注射して硬膜外にチューブを差し込み、神経ブロックを併用した方法で手術は行われました。

手術を終えた桑田さんは2人部屋に移されました。もう一人の患者さん(Bさん)は、前日に手術を行っており、2日目の夜も手術後の疼痛で眠れない夜を迎えていました。
「こんな痛い思いをするのならば、二度と手術はごめんだ!」
Bさんの家族は看護師に痛み止めの注射を依頼するなど、激痛との闘いは続いていました。

しかし、私が麻酔を担当した桑田さんは「痛みはない」と爽やかな表情で麻酔から醒めて、
「いつ手術室に入ったのだろう」と狐につままれたような顔をしていました。Bさんは「この人も今夜苦しむだろうな」と思っていたそうですが、桑田さんはその夜は朝までぐっすり眠り、ナースコールは一度もありません。

その様子をみたBさんは相当不安を感じたらしく「先生、なぜこんなに痛むのですか?」と主治医に訊きました。主治医は「麻酔のプロを呼びました」と答えていました。Bさんの麻酔医は、研修医だったそうです。

痛みのなかった桑田さんは、主治医をすごい名医だと思ったそうです。逆に痛みがひどかったBさんは同じ主治医を「ヤブ医者!」と恨ん(うら)でいるのですから不思議なものです。この主治医は私に麻酔の方法を聞いて、手術後にこれほどの差が出たことに感服していたようでした。

この噂はたちまち病院内に広がり、手術待ちの患者さんは「私にも同じ手術をしてほしい。金はかかってもかまわない」と迫っていました。

次の手術では、主治医は私から学んだ麻酔と神経ブロックを実践したところ、麻酔は深かったためになかなか目は覚めませんでした。しかし手術後の痛みを抑えるために神経ブックうまくいき、この患者の痛みはなかったようです。今ではこの主治医は患者から名医とよばれています。

最近は硬膜外麻酔が主流です。
硬膜外麻酔は切れるまでの時間が短いですが、神経ブロックをしていますので、患者さんは痛みを感じません。盲腸などではほとんどこの麻酔方法を採用しています。麻酔の方法は日進月歩で進んでいます。

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