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痛みを斬る

症例7今井一郎(40)=自動車専門学校教師(仮名)

3年間苦しみ来院

今井さんが、むち打ち症になり来院したのは、今から3年前の平成14年の春のことでした。群馬県に住んでいる今井さんは、3年前に大きな交通事故に遭遇しました。信号待ちで車を停車していたところ、運送会社のトラックに後から追突されて、救急車で救急病院に運ばれました。
病院では「むち打ち症」と診断されて、頭が痛く、吐き気がするという症状があるので、入院することになりました。1週間後に吐き気や頭痛が落ち着いてきたので、首を湿布してコルセットを巻いて退院しました。しかし退院後もまったく痛みがとれません。今井さんからすれば「何で退院させた?」という気持ちだったと思います。
本人から話を聞きますと、痛いのは当たり前です。炎症がまだ完全に残っているというのに、炎症をとるための治療していません。湿布剤と、コルセットを巻いているだけでは、炎症はなかなか取れないのです。これでは気の毒です。
コルセットは、頭の負担を首にかけないようにするため、安静にするための器具です。これは保存療法といって、安静にすることで痛みをとっていくと、いうやり方ですが、これは一昔前の治療です。

今井さんは退院してから2、3週間後に通院先の医師に相談したところ「うちではこれ以上の治療できません」と宣告されました。「むち打ち症というのは、1ヶ月、2ヶ月安静にしていれば、痛みが取れるのですよ」と言われたそうです。しかし、今井さんとすれば痛くて仕方がないのですから、納得できません。

そこでペインクリニックを紹介されて別の病院に通い始めたのですが、2年近く神経ブロックをしながら治療したにもかかわらず、痛みがまったく取れません。
来院した時には、激痛が走り、首が前後に振れない状態でした。2割程度は良くなっていたようですが、彼の首はロボコップ状態でした。8割の痛みがとれていないわけですから、とても仕事に就ける状態ではありませんでした。手が上がらず、黒板にも字も書けない、という状態でした。上を向くことも、横を向くこともできないので、まともに授業ができません。

今井さんは、自動車の機械工学の教師ですが、仕事にならない状態が2年近く続いていました。MRIを撮ってみても、ヘルニアはありません。事故以前からの狭窄症は多少ありましたが、さすがの私も「これはひどいぞ」と同情したほど、激しい痛みでした。
今井さんは腰椎の5番、6番、7番が狭くなっていたために、5の衝撃でも、15の衝撃になり、激しいためになっていたようです。こういう患者は、少しの衝撃を受けたとしても、3倍、4倍の痛みになってしまうのです。つまり狭くなっているところの神経をむち打ち症によって刺激していたわけです。
彼の狭窄症は、事故以前は肩凝り程度しか症状として出ていなかったのです。この症状に対して”ドン”という激しい衝撃があったために、寝ている子が目を覚ましてしまいました。

24時間チューブを差し込む

結局、以前からあったから狭窄症の症状と首の激しい捻挫が相乗効果となって、鎮痛剤を飲んでも、まったく効かないような状態になっていました。鎮痛剤レベルをはるかに越していました。
今井さんはこれまで100回近く星状神経節ブロックをしましたが、2割程度の効果しかありませんでしたので、これ以上やっても意味はありません。
しかし頚椎の間隔が狭いだけですから、私からみますと難しい治療ではなかったのです。私は神経ブロックの中でも別の治療法を選択して、首にチューブを入れる神経ブロック療法を開始しました。つまり24時間チューブを差込み、通院しながら少しずつ薬をポンプから注入するというやり方でした。
0.9mmの太さのチューブを首に入れます。これは持続硬膜外チューブっていって、腰にポシェットを付けるように薬の入ったポンプを取り付けて、1時間に2ccずつ薬が流れるように設定をします

この治療を始めてから1ヶ月後、痛みは消え始めていました。今までに2~3割しか取れなかった痛みが一気に6割以上取れました。

1ヶ月後、薬を補充する方法で神経ブロックを行い、この時点でチューブを抜き取り、それ以降は通院しながら注射で1週間に2回の神経ブロックを行うという治療を1年間を行いました。この時点で痛みは9割消えました。
しかし、残りの10%はなかなか取れませんでした。同じ治療をさらに半年間行い、ようやく残りの10%の痛みをとることができました。

しかし非常に長い治療期間を要しました。なぜこれほどまでに悪化してしまったのかというと、原因は初期治療にありました。
これまで今井さんと同じような症状の患者がいましたが、最初に私のクリニックに来た患者は、3ヶ月程度で治癒しています。今井さんは遠回りをしたために病状をこじらせてしまいました。

今井さんが私の治療を受けたのは、事故から3年目になるために、その間に症状が固定されてしまい、神経ブロックが効きにくい状態になっていたのです。最終的に今井さんは9割まで回復するのに、事故から4年半を費やしました。
仕事を年間半年以上休み、家族の不安はますます高まり、このまま一生を終えるのかと思うと死んだほうがいい、とさえ思ったこともあったそうです。精神的に良くない状態が長期間続き、完全に心が病にかかっていた今井さんにやっと笑顔が戻りました。
後日談があります。当時小学生6年生だったお子さんは医学部に合格、弟さんも麻酔を目指して国立大学医学部にチャレンジしています。

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